1.はじめに
今や、建設業界でも営業力が企業の成長を左右します。しかし、「飛び込み営業が苦手」「顧客リストが持て余してしまう」「どのようにアプローチすれば良いかわからない」など、営業には多くの難しさが存在します。
本記事では、そんな建設業界で働く営業担当者の皆さまに向けて、一歩前進できる営業のポイントとコツを紹介します。飛び込み営業の秘訣から信頼性の高め方、そして最新のデジタルツールの活用法まで、幅広い視点から効果的な営業方法を探求しましょう。
これからご紹介する内容を通じて、皆さまの営業活動がさらに活性化し、結果として企業の成長につながることを期待しています。
2.建設業界の営業の現状と問題点
(1)アナログな営業手法が主流
建設業界の営業において現在でもアナログな手法が主流となっています。これは具体的には、直接訪問や電話、FAXを通じた情報提供など、デジタルツールをあまり活用していない状況を指します。これらの手法は伝統的で確かに効果的な部分もありますが、一方で時間と手間がかかり、効率的ではないという課題もあります。なぜなら、アナログな手法は一対一のコミュニケーションが基本となり、情報を一度に多くの人に届けることが難しいからです。また、情報の更新や修正も手間がかかります。これらを見ると、デジタル化が進む現代において、営業手法もより効率的なものへとシフトしていくべきと言えるでしょう。
(2)顧客の時間に振り回される
建設業界の営業では、顧客の都合にすぐに対応する必要があります。これは、プロジェクトの進行や突発的な問題に対応するため、顧客の時間に振り回されることが多くなります。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
表1.
ケース | 説明 |
---|---|
A.急な打ち合わせ | 既存のスケジュールを変更し、急な打ち合わせに参加する必要がある。 |
B.現場急行 | 問題が発生した場合、すぐに現場に行かなければならない。 |
これらのケースは、営業効率を下げる要因となります。特に、未計画の打ち合わせや現場訪問は、他の営業活動を排除し、ストレスを増加させる可能性があります。ですから、顧客と事前に確認や共有を行い、スケジュールを調整することが大切です。
(3)情報が共有されていない
現在の建設業界では、企業間での情報共有が十分に行われていません。具体的には、自社のプロジェクト進行状況や競合他社の動向、市場の最新情報などが適切に共有されていないことが問題となっています。
この状況は、ビジネスチャンスの損失や営業効率の低下を招きます。例えば、顧客が求めているサービスや商品の情報が営業メンバー間で共有されていないと、顧客のニーズを見逃すことにつながります。
また、市場の最新情報や競合他社の動向についての情報が共有されていないと、自社の戦略を適切に立てることが難しくなります。
したがって、情報を適切に共有することで、営業の質を向上させることが可能です。具体的には、社内での情報共有システムを導入する、定期的なミーティングを設けるなどの対策が考えられます。
(4)自社の認知度・理解度が低い
建設業界での営業において、自社の認知度・理解度の低さは大きな問題となります。どんなに優秀な技術力を持っていても、それが顧客に正しく伝わらなければ、ビジネスチャンスを逃すことになります。
まずは自社の強み、特長を明確に把握しましょう。それは何でしょうか?
- 技術力
- 実績
- 信頼性
- 対応力
- 価格
以上の5つが一般的な強みになるでしょう。これらを明確にすれば、次はどう伝えるかが問題となります。それは、自社のホームページやパンフレット、社員の口頭での説明など、多岐にわたります。
重要なのは、こうした情報が一貫していることです。ある場所では「技術力に自信あり!」とアピールしているのに、他の場所ではそのメッセージが見当たらない、という状況では、顧客は混乱してしまいます。
自社の強みを明確にし、それを一貫したメッセージで伝える。これが自社の認知度・理解度を上げるコツとなります。
(5)自社のホームページがユーザーに見られない
自社のホームページが存在することは、ビジネスの信頼性を保つ上で不可欠です。しかし、ただ存在しているだけでは不十分です。見られる、つまり検索エンジンで上位表示されるような設定が必要です。特に建設業界では、自社の施工事例や技術力、提供するサービスなどを具体的に示すことで、顧客の理解を深め、信頼を勝ち取ることができます。
具体的な対策としては、SEO対策と呼ばれる検索エンジン最適化が重要になります。以下の表に、SEO対策の一部を示します。
SEO対策の要素 | 内容 |
---|---|
キーワード選定 | 自社のサービスに関連するキーワードを選び、それを記事内に盛り込む。 |
有益なコンテンツの提供 | 訪問者が得られる情報や価値を明確にする。 |
ユーザー体験の向上 | ページの読み込み速度やデザイン等により、訪問者がストレスなく情報を得られるよう努める。 |
これらを意識することで、自社のホームページがより多くのユーザーに見られる可能性が高まります。
(6)知り合い企業の紹介に頼りすぎている
建設業界の営業の一部では、取引先やパートナー企業からの紹介に依存している場合が見受けられます。これは、紹介という形で新規の取引先や顧客を得ることができる一方で、自社で積極的に新規顧客開拓を行わないというリスクも伴います。
以下にそのリスクを表にしました。
リスク | 詳細 |
---|---|
依存度 | 紹介元への過度な依存により、その関係が失われた場合に新規顧客を獲得する手段が失われる |
視野狭窄 | 新規取引先や顧客の選択肢が紹介先に限定され、視野が狭まりがちに |
競争力低下 | 自社で新規顧客を獲得する手法を持たないことで、競争力が下がる可能性 |
これらのリスクを避けるためには、知人企業の紹介だけに頼らず、自社で新規開拓を行う営業スキルや戦略も必要です。これにより、自社の営業力を向上させることができます。
3.信頼性を高める営業のポイント
(1)まずは信頼してもらう
営業活動の一歩目は、何よりもまず「信頼される」ことです。この建設業界では、特に人間関係が重視されます。そのため、初めて訪問する顧客に対して、あなた自身やあなたの会社が信頼に値する存在であることを伝えることが重要となります。
具体的な手法としては、まず自社の実績を紹介すると良いでしょう。適切な説明とともに、以下のように表形式で実績を見せると、一目でわかりやすいです。
年度 | 完成物件数 | 平均工期 | 平均予算 |
---|---|---|---|
2020年 | 50件 | 3ヶ月 | 1,000万円 |
2019年 | 45件 | 2.5ヶ月 | 900万円 |
次に、過去のクライアントからの推薦文や評価を提示することも効果的です。これにより、あなたが提供するサービスの品質を証明し、新たな顧客の信頼を得ることができます。
(2)「喋る」よりも「聴く」
建設業界の営業において重要なのは、「喋る」よりも「聴く」姿勢を持つことです。相手の話を丁寧に聞くことで、顧客の要望や疑問、悩みを理解し、それに適した解決策を提供できます。また、自社のサービスや商品を押しつけるのではなく、顧客の話を聞くことで信頼関係を築くことが可能です。
以下は、”喋る”と”聴く”のバランスに関する一例です。
営業スタイル | 特徴 | 効果 |
---|---|---|
喋る | 自社の商品やサービスを主張 | 顧客が必要としていない情報を提供し、反感を買う可能性 |
聴く | 顧客の要望や疑問、悩みを理解 | 信頼関係の構築と顧客満足度の向上 |
「喋る」だけの営業ではなく、「聴く」営業を心掛ければ、顧客の納得感を高め、長期的な関係の構築につながります。
(3)紹介を依頼する
建設業界において、信頼性の高い営業を展開するためには、紹介を依頼することが有効です。具体的な手法として、まずは自社のサービスや製品を理解してもらい、それを信頼している既存の顧客から新たな顧客への紹介を依頼するといった方法があります。
紹介を依頼する際のポイントは、次の3つです。
ポイント | 説明 |
---|---|
1. 具体的な紹介先を指定 | 紹介先が具体的であればあるほど、紹介者に負担をかけずに紹介してもらいやすいです。 |
2. 紹介の理由を説明 | 紹介者にとっても納得感があり、新規の顧客にとっても説明がしやすいです。 |
3. お礼の言葉を添える | 紹介することは負担であるため、感謝の意を示すことが大切です。 |
これらを心がけることで、紹介者からの信頼を得やすくなり、さらには新規の顧客との信頼関係も築きやすくなります。
4.効果的な飛び込み営業のコツ
(1)数を増やす
飛び込み営業の効果は数と比例します。多くの潜在的な顧客に触れることで、必然的に契約締結の機会も増えるのです。ただし、ここで注意すべきは、適切なターゲットに絞って行動すること。適当な企業をランダムに訪ねるのではなく、自社の強みが活かせると思われる企業や、具体的なニーズがありそうな企業を選ぶことがポイントです。
具体的なアクションプランとしては以下のようになります。
- 1日の訪問企業数を設定する(例:1日10社)
- 週間、月間の訪問企業数の目標を設定する
- 適切なターゲットを設定してそれに沿った企業リストを作成する
このように数を増やすことで、結果を積み重ねることが可能になります。
(2)信頼を意識する
飛び込み営業では、まず最初に信頼関係の構築が大切です。信頼されることで、初めて顧客とのコミュニケーションが円滑にいき、商談のチャンスが増えます。
では、具体的にどのように信頼を得るかというと、営業マンとしての誠実さが求められます。約束は必ず守り、お客様の要望に真摯に対応することが基本です。
また、自社の技術力や業績を適切にアピールすることも重要です。これらは具体的な事例やデータを用いて伝えると、より信憑性が増します。
次に、長期的な視点で顧客と接することも大切です。一度の商談で結果を出すことよりも、持続的な関係性の構築を意識しましょう。
以上のような姿勢が、信頼関係の構築に繋がります。
(3)とにかく話を聴く
「とにかく話を聴く」こそが飛び込み営業における重要なコツです。お客様が何を求めているのか、何に困っているのかを理解するためには、まずは彼らの話をじっくりと聴くことが必要です。
営業マンは自社の商品やサービスを売り込むために、多くの情報を伝えようとします。しかし、その前に顧客の話に耳を傾けることで、顧客のニーズや問題点が明らかになります。これを解決策と結びつけることで、自社の商品やサービスがどのように顧客の役に立つかを具体的に示すことが可能となります。
また、単に話を聴くだけでなく、適切な質問を挟むことで、より深い理解へとつながります。ここで大切なのは、質問が相手を攻めるものではなく、理解を深めるためのものであるという点です。言葉遣いや態度にも気をつけて、相手が話しやすい雰囲気を作りましょう。
(4)あらかじめ予告する
飛び込み営業のコツとして、「あらかじめ予告する」方法があります。突然の訪問は相手にとって負担となることもあるため、事前に訪問の旨を伝えると営業成果が高まります。
具体的には、ますは電話やメールでアポイントメントを取り、訪問目的、訪問日時を伝えます。以下のようなフォーマットが考えられます:
【電話やメールでのアポイントメント取得時の例】 「○○様、 いつもお世話になっております、□□です。 後日、新商品のご紹介と、お客様のご要望を直接伺うためにお伺いさせていただければと思います。〇月〇日の午後2時はいかがでしょうか?」
こうした事前の連絡は、相手が準備を整える時間を設けられるだけでなく、自社への信頼感も深まります。急な飛び込みよりも効果的な営業活動となるでしょう。
(5)罪悪感を消す
飛び込み営業の際、営業先で「私たちのために時間を割いてしまった」という罪悪感を感じさせないようにすることも大切です。そのためには、まず自身のアプローチがお客様にとって有益なものであるという自覚が必要です。
- 営業で提案する商品やサービスが、顧客の問題解決に寄与するものであるか
- 私たちが提供する価値が、顧客の時間を使う価値があるものであるか
上記の点を把握し、自信をもってアプローチすることが重要です。それにより、営業先に罪悪感を感じさせず、よりポジティブな関係性を築くことができます。また、自己紹介や挨拶から始め、顧客の時間を尊重する態度を示すことも罪悪感を和らげます。
(6)分析する
営業活動を行った結果を的確に分析することは、次回の営業に活かすために重要です。その際には、以下の点に注目しましょう。
まず、反響があった施策とその内容、そして反響の具体的な理由を見つけることです。反響があった際には何が良かったのか、反響がなかった際には何が問題だったのかを深堀りしましょう。
また、次に注意すべきはターゲットとなる顧客の反応です。特に、どのような話題やアプローチが顧客から反応を得られたか、顧客が何を求めているのかを理解することが大切です。
さらには、同業他社と自社の営業活動の違いも分析することも重要です。他社がどのような営業戦略を用いているのか、それに対して自社がどう対策を取るべきかを考えてみましょう。
これらの分析を行うことで、自社の営業活動の問題点を見つけ、次回に向けて改善するためのヒントを得ることができます。
(7)落ち込まない
飛び込み営業は、成功率が必ずしも高いとは言えません。反応が得られない場合や断られることもしばしばありますが、その度に落ち込んでしまうと自身のモチベーションを維持することが難しくなります。
では、具体的にどのように心構えたらよいでしょうか。
まず、断られることを前提として考えてみてください。飛び込みの成功率は一般的に10%程度と言われています。つまり、10件訪問して1件の成功を期待するという視点を持つことで、失敗に対するプレッシャーを軽減することが出来ます。
また、断られた原因を分析し、次回に活かすという姿勢も重要です。無意味に失敗を繰り返すのではなく、その都度何が足りなかったのかを自問自答し改善点を見つけ出すことで、次のチャンスに繋げることが可能になります。
最後に、自分自身を労わることも大切です。ハードワークは必要ですが、過度なストレスはパフォーマンスを下げる原因となります。適度な休息を取り、自分を褒めることで長期間営業活動を続けられるようにしましょう。
5.新時代の営業方法:デジタルツールの活用
(1)自社ホームページの作成・リニューアル
自社ホームページは、建設業営業の有効なツールになります。まず、ホームページが存在しない企業は、一から作成を検討しましょう。持っているだけで信頼性が増します。
すでにホームページがある企業は、定期的に内容を更新し、デザインを見直すことが大切です。見た目が古いと、技術も古いと思われる可能性があります。また、SEO対策を行い、検索エンジン上位に表示されるように心掛けましょう。
次に、ユーザーにとって見やすく、情報が見つけやすい配置にすることも重要です。例えば、以下のような構成を考えてみましょう。
- 自社の強み・特長
- 完成したプロジェクトの紹介
- サービス内容・料金
- お問い合わせ方法
これらを明確に示すことで、訪れたユーザーに自社の魅力を効果的に伝えられます。
(2)SNSの活用
SNSは、現代の営業ツールとして有効であることが認識されています。特に建設業界では、仕事の成果を視覚的に示すのに優れたツールとなります。
FacebookやInstagramなどのプラットフォームでは、完成した建物や施工中の様子を投稿することで、自社の技術力や信頼性を訴求できます。また、LinkedInでは、業界のパートナー企業とのネットワーキングや新規顧客の獲得に役立ちます。
SNSの活用に際しては、以下の点に注意すると良いでしょう。
- 定期的な投稿:フォロワーがあなたの存在を忘れないよう、定期的に投稿しましょう。
- 質の高い内容:あなたの専門知識やサービスの価値を伝える内容を心掛けましょう。
- エンゲージメント:フォロワーのコメントに対して返信するなど、コミュニケーションを図りましょう。
これらを実践することで、SNSはより効果的な営業ツールへと進化します。
(3)YouTubeの活用
建設業界でも、YouTubeを営業ツールとして活用する事例が増えています。YouTubeは、世界中からアクセス可能なプラットフォームであり、自社のサービスや技術を広く紹介することが可能です。
具体的には、工事のプロセスを映像化して分かりやすく説明したり、施工後の建物を映像で紹介することで、自社の技術力やサービスの良さを訴求できます。また、ユーザーからのコメントに返信することでコミュニケーションを取ったり、チャンネル登録者に対して新着情報を提供するなど、一方通行の情報発信だけでなく、リアルタイムなコミュニケーションも可能です。これらの取り組みは、視聴者に自社への理解を深めてもらい、信頼関係を築くための重要なステップとなります。
YouTube活用のポイント:
- 工事のプロセスや施工後の建物を映像で紹介
- ユーザーからのコメントに返信してコミュニケーション
- チャンネル登録者に対して新着情報を提供
上記のようにYouTubeを活用することで、営業力を向上させることが可能です。
(4)ITや電話を活用した営業方法
現代の営業においては、ITや電話の活用が欠かせません。特に建設業界では、現場作業との両立が求められますので、効率的なコミュニケーション手段として重宝します。
まずは、CRM(顧客管理システム)の利用を推奨します。これは、顧客情報の集約や営業活動の進行状況を管理するツールで、営業効率を高めます。
また、電話も大切なツールです。直接会うことが難しい場合でも、電話によるフォローアップは顧客との関係を深める重要な要素です。
さらに、オンライン会議システム(Zoomなど)の利用もおすすめします。遠隔地の顧客とも容易にコンタクトを取ることが可能となります。
最後に、営業活動の効率化を図るためには、以下の表に示すように、それぞれのツールが得意とする領域を理解し活用することが大切です。
ツール | 得意な領域 |
---|---|
CRM | 情報管理、進捗管理 |
電話 | フォローアップ、説明 |
オンライン会議システム | 遠隔地とのコミュニケーション |
世の中がデジタル化する中、営業も変革が求められています。これらのITツールを活用し、効率的な営業を展開してみましょう。
6.成果を上げるための営業戦略
(1)無理な営業を行わない
営業とは、あくまで顧客との「信頼関係」を築くための行為です。無理な営業は、一時的に契約は取れるかもしれませんが、長期的な視点で見ると、顧客との信頼関係が崩れる原因になります。
具体的には、自社の製品やサービスが顧客の課題解決に真に寄与することができない状況での契約勧誘は控えましょう。その代わり、どのように顧客の課題を解消できるのかを丁寧に説明し、顧客自身が納得して契約を進めるようにすることが大切です。
また、無理な営業は己れのストレスにもつながるため、自身の営業スタイルを見直すきっかけとなります。
より具体的な行動指針を以下の表に示します。
行動指針 | 内容 |
---|---|
1. 課題解決の視点 | 顧客の課題を明確に理解し、それに対する具体的な解決策を提案 |
2. 丁寧な説明 | 自社の製品やサービスがどのように顧客の課題に対応するのか詳しく説明 |
3. 顧客の意思尊重 | 契約は顧客自身が納得した上で進める |
4. 自己管理 | 自身のストレスを感じたときは、自身の営業スタイルを見直す |
以上が「無理な営業を行わない」ためのポイントです。
(2)業種やエリアで絞り込む
建設営業において効果的な結果を上げるためには、業種やエリアで顧客を絞り込むことが大切です。具体的には、自社が提供できるサービスが必要とされる業種、あるいは、自社の強みを活かせる地域をピックアップし、そのターゲットに対して専門的な提案ができれば、信頼関係の構築や契約獲得につながります。
例えば、自社が強みを持つ業種が「マンション建築」であれば、その業種に特化した営業活動を展開するのが効果的です。また、自社が長年ビジネスを展開してきたエリアや、地域の特性を理解しているエリアに絞って営業を行うことも一つの戦略となります。
このように、業種やエリアに絞ることで、より深い関係性を築きやすくなります。単に量を追求するだけではなく、「質」にこだわることで、長期的な取引関係につながる営業を目指しましょう。
(3)顧客・競合・自社の分析を徹底的に行う
成功する営業戦略は、顧客・競合・自社の三つの要素についての深い理解に基づいています。
まず、顧客のニーズや課題を理解することは営業の大前提です。これには、顧客の業種、業績、計画、課題などを把握する必要があります。
次に、競合の動向を分析します。彼らがどのような営業戦略をとっているのか、何がうまくいっているのか、何がうまくいかなかったのかを理解することで、自社の営業戦略を修正・改善するヒントを得られます。
最後に、自社の強みと弱みを客観的に把握することが重要です。自社の有利な点と改善点を明確にすることで、より効果的な営業戦略を立てることが可能です。
これら三つの分析は、営業活動を常に最適化し、成果を上げるために必要不可欠なプロセスです。
(4)営業先のスケジュールに合わせる
建設業界では、クライアントの都合を最優先に考えることが営業成功のコツです。私たちの業界はプロジェクトごとにタイトなスケジュールが組まれ、営業の訪問はそれに影響を及ぼす可能性があります。
そのため、まずはクライアントのスケジュールを把握し、それに合わせた営業活動を行うことが大切です。たとえば、現場作業が集中する午前中に訪問するのではなく、それ以外の時間帯を選ぶなど、クライアントの業務を尊重するアプローチが求められます。
また、クライアントの都合に合わせて打ち合わせの日時を調整することでも、無理なく継続的な関係性を築くことが可能です。もちろん、この際にもクライアントのビジネスに影響を与えないよう、適切な配慮が必要となります。
これらの考慮をすることで、クライアントからの信頼を勝ち取り、長期的なビジネス関係を築くための礎を作ることができます。
(5)営業代行サービスに相談して営業戦略の提案を受ける
営業代行サービスは、自社の営業力を補強するための一つの手段です。営業代行サービスには、経験豊富な営業プロフェッショナルが在籍しており、建設業界の特性を理解した上で、最適な営業戦略を提案してくれます。
具体的には、以下のようなサポートが期待できます。
- 営業活動計画の策定
- 営業マテリアルの作成
- 担当者への営業トレーニング
- 定期的な進捗レポート
また、営業代行サービスを活用することで、自社の資源をより生産的な業務に集中することが可能になります。営業経験が少ないスタッフが多い場合や、営業活動に自信がない場合には、一度、営業代行サービスに相談してみる価値があります。専門的な視点からのアドバイスは、新たな視点をもたらし、営業成果の向上に繋がります。
7.まとめ
本記事では、建設業界の営業の現状と問題点をはじめ、信頼性を高める営業のポイントや効果的な飛び込み営業のコツについて解説しました。また、新時代の営業方法としてデジタルツールの活用や成果を上げるための営業戦略も詳細に説明しました。
大切なのは、顧客との信頼関係を築くこと、そして顧客のニーズを正しく把握し、それに対する最適な提案を行うことです。また、時代の流れに合わせてデジタルツールを活用し、さらには営業代行サービスに相談するなど、多角的な営業戦略を立てることも重要です。
営業の世界は日々進化しています。これらのポイントとコツを活用し、建設業界での成功を目指しましょう。