1.はじめに：リフォーム工程表の必要性

リフォーム工事を進めるにあたり、「リフォーム工程表」が非常に重要な役割を果たします。これは、全体の流れを把握し、計画的に作業を進める上で欠かせない道具です。リフォーム工程表を用いることで、どの工事がいつ始まり、いつ終わるのか、また次にどの工事に移行するのかという流れが一目瞭然となります。

また、工事の進捗管理も行いやすくなります。工事が遅延している場合や、逆に早く進んでいる場合でも、そのことが一目でわかるため、迅速に対応することが可能となります。これにより、工事がスムーズに進行し、予定通りに終わる可能性が高まります。

さらに、リフォーム工程表は、工事を行う業者とのコミュニケーションツールとしても機能します。工事の進捗状況や今後の予定等を共有することで、互いの理解を深め、スムーズな作業進行につながります。以上の理由から、リフォーム工程表の作成は必須と言えるでしょう。

2.工程表とは

工程表の定義と目的

工程表とは、プロジェクトや施工の進行をスケジュール化した管理表のことを指します。具体的には、工事内容、作業日数、作業者、必要資材などを時系列に沿って明記し、全体のプロセスを視覚的に把握するためのツールです。

主な目的は以下の3点です。

1.時間管理：作業のスケジュールと期間を明確にし、工事全体の進行状況を確認することができます。

2.リソース管理：使用する資材や人員の配分を計画し、必要なリソースを最適に割り当てることができます。

3.進行管理：各工程の進行状況を一覧で確認し、滞りや遅延があれば対策を立てることができます。

これらを通じて、コスト削減や品質向上、期間短縮など効率的なリフォーム工事を実現するために工程表は不可欠なツールとなります。

行程表との違い

工程表と行程表は、一見すると似ている言葉で混同しやすいですが、それぞれ異なる意味を持ちます。工程表はプロジェクトや作業の進行状況を計画し、管理するツールです。一方で、行程表は旅行や出張などの移動予定を時系列にまとめたものです。

工程表はリフォーム工事などの施工計画を明確にし、必要な作業とそれにかかる期間を視覚的に示します。これにより、作業者のスケジュール管理や工期の把握が可能となります。

一方、行程表は移動先や滞在時間、移動手段などを時系列に並べます。これにより、出発時間や到着時間の管理が可能となり、スムーズな移動を支援します。

	工程表	行程表
目的	作業の進行状況を計画・管理	移動予定を時系列にまとめる
主な使用場所	プロジェクト管理（例：リフォーム工事）	移動計画（例：旅行）

以上の違いを理解し、適切な管理ツールを選択することが大切です。

3.工程表の種類と特徴

バーチャート工程表

バーチャート工程表とは、リフォーム工程の進行状況を一目で把握するための工具です。時間軸を横軸に、各工事項目を縦軸に配置し、その進行期間を棒グラフで表現します。これにより、全体の工程スケジュールや各工事項目の開始・終了時期、工事の重なり具合が分かり易く、リフォームの進行状況管理に役立ちます。

例えば、キッチンリフォームの場合、以下のように表現します。

工程	開始日	終了日
解体工事	2022/04/01	2022/04/03
配管工事	2022/04/04	2022/04/06
設備取付	2022/04/07	2022/04/09

このようにバーチャート工程表を用いることで、リフォーム工程の計画・管理が容易になり、工事全体の進行を円滑化することができます。

ガントチャート工程表

ガントチャート工程表は、リフォーム工事の流れを一目で把握するための視覚的なツールです。工程表の中でも特に使われる頻度が高いこのガントチャート工程表ですが、その特徴は何と言っても視覚的に分かりやすいこと。

具体的には、縦軸で各工事のタスクを表示し、横軸で時間の流れを表現します。タスクが始まる日から終了する日までを横線で描くことで、各タスクの期間と順序、重なり合う部分（並行作業）が一目瞭然となります。

例えば以下のような形です。

	1日	2日	3日	4日	5日
解体作業	◯	◯	◯
配管工事		◯	◯	◯
電気工事				◯	◯

このように、ガントチャート工程表はリフォームの全体像を把握し、工程管理には欠かせないツールといえます。

曲線式工程表（グラフ式工程表）

曲線式工程表（グラフ式工程表）は、リフォーム工程表の一種です。時系列ごとの作業量や工期の変化を曲線グラフで視覚化するという特徴があります。

具体的な曲線式工程表の見方としては、横軸に工程の時間（日、週、月等）、縦軸に完了する作業量や工事の進捗状況をプロットし、その変化を一目で把握できるようにします。

例えば、バスルームリフォームの場合、以下のように表示されます。

日時	作業内容	完了率
1週目	解体工事	20％
2週目	配管工事	40％
3週目	設備取付	60％
4週目	仕上げ工事	80％
5週目	完了	100％

このように曲線式工程表は、各工程の進行度や全体の進捗具合を視覚的に捉えやすくするのがポイントとなります。そのため、リフォーム計画の立案や進行管理において大変有用です。

工程管理曲線（バナナ曲線工程表）

工程管理曲線、別名バナナ曲線工程表とは、リフォーム工程の進行具合を一目で確認できる有用なツールです。これは、工程の進行状況と計画を同時に比較し、工事全体の進捗を視覚的に把握するためのものです。具体的には以下の表の通りです。

日付	計画工程	実行工程
1月1日	5%	5%
1月2日	10%	7%
1月3日	15%	10%
（以下省略）

このように、計画工程と実行工程を日ごとに記録し、それをグラフ化することで、工事の遅延や進捗が一目でわかります。この表を利用することで、進捗管理が容易になり、必要な調整や対策を迅速に行うことが可能となります。

ネットワーク工程表

ネットワーク工程表とは、リフォーム工事の各工程を始点から終点まで矢印で結んだ図形を作り、その中に作業時間や必要な資源を記入する形式の工程表です。一目で各工程の順序や前後関係を把握することが可能で、工事全体の流れを視覚的に理解しやすいのが特長です。

このネットワーク工程表を利用することで、どの工程が遅れると全体の工事期間に影響が出るか、またはどの工程には余裕があるかなど、総合的な判断材料にすることが可能です。リフォーム工事の効率的な進行計画を立てるために活用されます。

4.リフォーム工事の工程表作成手順

① 施工手順・範囲の決定

リフォーム工程表作成の最初のステップは、施工手順と範囲の決定です。まずは、具体的にどの部分をリフォームするのか、その範囲を明確にします。例えば、キッチンリフォームであれば、シンクの交換だけなのか、収納棚の追加も行うのかを確認します。

次に、そのリフォームにおいてどのような手順で作業を進めるべきかを考えます。例えば、床や壁のリフォームであれば、以下のような順番になるでしょう。

【施工手順例】

1. 既存設備・什器の撤去
2. 新たな配管、電気工事
3. 壁・床材の張替え
4. 新設備・什器の設置

このように、リフォーム工事の内容とそれに必要な手順を事前に整理することで、効率的なスケジュール作りが可能となります。

② 施工期間の設定

リフォーム工事の工程表作成において、次に重要なのが「施工期間の設定」です。これはリフォームにかける全体の期間を決定する作業となります。

まず最初に全体の工事期間を規定します。これはリフォームが完成するために必要な日数であり、「いつからいつまで」という具体的な期間を指します。例えば、「2022年1月1日から2022年3月31日までの3ヶ月間」と設定するといった具体的な日程を設けます。

その上で、各工事ごとの期間を設定します。例えば、下記のような表を作成して、各工程の開始日と終了日、それにかかる期間を設定します。

工程	開始日	終了日	期間
解体工事	2022/01/01	2022/01/07	7日間
配管工事	2022/01/08	2022/01/14	7日間

このように施工期間を明確に設定することで、工事の進捗管理が容易になり、計画通りにリフォームを進めることが可能になります。「施工期間の設定」は、リフォーム工程表作成の重要な要素であると言えます。

③ 各工事の配分・人材配置

リフォーム工事では、さまざまな工事が同時並行で行われます。適切な人材配置と工事の順序を決定することが重要です。各工事の配分・人材配置を決定するためには、以下のステップに従います。

まず、全体の工事を細分化し、それぞれに必要な専門性と工数を明確にします。例えば、水回りのリフォームでは、設備工事、配管工事、解体工事などが考えられます。

次に、それぞれの工事に対し適切な人材を配置します。この際、各人材の技術力や経験、仕事量を考慮します。

最後に、各工事のスケジュールを組み立てます。工事の順序や重複を防ぎ、効率的な施工計画を立てることが求められます。

以下の表で具体的な例を示します。

工事内容	必要専門性	工数	配置人材
設備工事	高	3日	中川さん
配管工事	中	2日	山田さん
解体工事	低	1日	佐藤さん

以上のように、各工事の配分と人材配置を明確にすることで、リフォーム工事の効率を大幅に向上させることが可能です。

④ 工程表の種類選択

リフォーム工事の工程表作成においては、工事の規模や特性により最適な工程表の種類を選択します。

まず、「バーチャート工程表」は、工程の流れを一目で確認したい場合や、各作業の開始日と終了日を明確に示したい場合に適しています。一方、「ガントチャート工程表」は、作業間の依存関係を視覚的に捉えやすく、進捗管理に役立ちます。

さらに、「曲線式工程表（グラフ式工程表）」や「工程管理曲線（バナナ曲線工程表）」は、プロジェクト全体の進捗状況を把握したい場合に活用します。

最後に、「ネットワーク工程表」は、各工程の依存関係や重要な経路を明確化します。これは、リスク管理や資源配分に有効です。

以上のように、各工程表の種類にはそれぞれ特徴があります。リフォーム工事の目的や規模を踏まえ、最適な工程表を選びましょう。

⑤ 工程表の作成方法を選択

リフォーム工程表の作成方法については、手書きから専用ソフトまで、さまざまな方法が存在します。その中から、リフォームの規模や予算、あなた自身のスキルに合わせて選択しましょう。

1. 手書き：小規模なリフォームであれば手書きも一つの選択肢。直感的に修正でき、柔軟性があります。ただし、大規模なリフォームには向きません。
2. Excel：微調整が可能で、テンプレートも豊富。しかし、専門知識が必要な場合も。
3. 専用ソフト：リフォーム専用の工程表作成ソフトも存在します。直感的な操作で作成でき、共有も容易です。

いずれの方法も一長一短ですが、リフォーム工事の進行状況を把握しやすくするためには、工程表作成が不可欠です。

⑥ 便利なツールで工程表作成

工程表作成には、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトが一般的に用いられます。これらは自由にセルを編集でき、色分けや罫線の追加も容易で、工程表作成に最適です。

また、最近では専用のプロジェクト管理ツールも注目されています。例えば、「Trello」や「Microsoft Project」などがあります。これらのツールでは、タスクの管理や進捗確認が可視化され、一目で全体像を把握することが可能です。

以下に、それぞれの特徴を表にまとめました。

ツール	特徴
ExcelやGoogleスプレッドシート	自由度が高く、手軽に始められる。
Trello	タスク管理が容易で、ビジュアル性が高い。
Microsoft Project	専門的な機能が豊富で、複雑なプロジェクトも管理できる。

どのツールを選ぶかは、リフォームの規模や管理のしやすさによります。適切なツールを選び、効率的な工程表作成を進めましょう。

5.リフォーム工事の具体的な工程事例

バスルームのリフォーム工程

バスルームのリフォーム工程はまず、旧設備の撤去から始まります。これには約2～3日かかることが一般的です。次に、配管工事を行い、新たな設備の設置に備えます。これにはさらに2～3日程度の時間を要します。

次に、新しいバスルーム設備の設置が行われ、これには約1日かかります。そして、細部の調整や清掃が行われ、最終的に完成となります。全体的な工程は下記の表の通りです。

工程	所要時間
旧設備の撤去	2～3日
配管工事	2～3日
新設備の設置	1日
細部調整・清掃	1日

以上が一般的なバスルームのリフォーム工程ですが、現場の状況や要望により変動することもあります。リフォームを検討している方は、具体的な工程や工期について事前に確認することをお勧めします。

キッチンのリフォーム工程

キッチンのリフォーム工程は、計画から完了までの各ステップを順序立てて表示するものです。以下は一例です。

1. 計画・打合せ：お客様の希望を詳細にヒアリングし、リフォーム計画を策定します。
2. 現地調査：キッチンの現状を詳細に把握し、設計に反映します。
3. 設計・見積もり：施工内容、工期、費用を具体化し、ご提案します。
4. 工事契約：内容にご納得いただけましたら、正式な工事契約を締結します。
5. 工事開始：解体工事から始まり、新たなキッチンの設置に進みます。
6. 中間チェック：工事の途中で現場の状況を確認し、必要に応じて調整します。
7. 工事完了・引き渡し：全ての工事が終わったら、お客様に引き渡しとなります。

実際の工程はリフォームの規模や内容により異なりますが、このように工程表は全体の流れを把握する大切なツールとなります。

外壁のリフォーム工程

まず初日、現状確認を行い、どのような作業が必要かを把握します。

次に、足場の設置から始まります。これは作業効率と安全性を確保するためです。

そして、古い塗料や壁材の剥がし作業を行います。これは新しい塗料がしっかりと定着するための重要な工程です。

その後、下塗りを行い、その上に仕上げ塗装を行います。

最後に、足場撤去と清掃を行い、工事完了となります。

以下の表で詳しく見ていきましょう。

日数	工程
1日目	現状確認
2 – 3日目	足場設置
4 – 7日目	旧塗装剥がし
8 – 9日目	下塗り
10 – 13日目	仕上げ塗装
14日目	足場撤去・清掃

以上が外壁のリフォーム工程となります。工事期間は、リフォームの規模や状況により変動しますので、あくまで一例としてご覧ください。

6.工程表作成時の注意点とポイント

編集・共有の迅速性

リフォーム工程表の作成において、「編集・共有の迅速性」は重要な要素となります。工事現場では状況が刻々と変わるため、工程表もそれに合わせて良く更新する必要があります。そのため、クラウドサービスなどを活用して、リアルタイムでの編集・共有が可能な環境を整えることが求められます。

たとえば、以下の表のように工程を管理する場合、

日付	工程	状況	担当
1日目	解体工事	完了	Aさん
2日目	配管工事	進行中	Bさん

ここで、2日目の配管工事が予定より遅れてしまったとすると、リアルタイムにこの情報を共有し、3日目以降の工程をすぐに見直すことが可能になります。これにより、工事全体の進行をスムーズに保ち、工期遅延を未然に防ぐことができます。

工事場所ごとの進捗明確化

リフォーム工程表の作成では、「工事場所ごとの進捗」を明確にすることが大切です。これは、一つのリフォームプロジェクトでも、例えばキッチンの改装やバスルームの更新、屋根の修理など、複数の場所でそれぞれ異なる工事が進行するためです。

それぞれの工事場所が、何日目にどの工程を進行するのかを一覧で見られると、全体の流れを把握しやすくなります。また、それぞれの場所で同時進行する工事のスケジューリングも円滑に行えます。

具体的には、以下のような表を作成します。

日付	キッチン	バスルーム	屋根
1日目	解体工事	–	–
2日目	配管工事	解体工事	–
3日目	配管工事	配管工事	解体工事

このように工程表を作成し、それぞれの工事場所ごとの進捗を明確化することで、リフォーム工事を効率的に進行させることが可能となります。

工事の担当者の明確化

リフォーム工程表には、各工事の担当者を明確に記載することが重要です。なぜなら、それによって確認や調整がスムーズに行え、工事進行の混乱を防ぐことが可能となるからです。

例えば、バスルームのリフォームにおける工程表では、以下のように記載するとわかりやすいでしょう。

工程	担当者
解体工事	Aさん
配管工事	Bさん
内装工事	Cさん
清掃	Dさん

このように、各工程ごとの担当者を明確にすることで、誰が何を担当しているのか一目で把握することができます。また、作業の重複や漏れを防ぐだけでなく、問題が発生した際の責任所在も明確になります。

最後に、工程表は全体像を掴むツールであるため、具体的な日時や詳細な作業内容までは記載しなくても概ねの流れがわかる程度に留めておくことをお勧めします。

誰が見ても理解できる工程表作成

工程表を作成する際は、誰が見ても理解できるような工程表を作るのが理想的です。特にリフォームに関わる様々な専門職が一つの工程表を参照することを考えると、その重要性は高まります。

まず、工程表には全ての工事項目を明記し、それぞれの項目が何を意味しているのかを簡潔に説明することが大切です。また、工程表は視覚的に分かりやすくするためにも、色分けや記号等を活用すると良いでしょう。

例えば、以下のような表を作成することで、視覚的にも理解しやすくなります。

工事項目	予定日	実施日	担当者	完了確認
解体工事	1/1	1/3	鈴木	○
配管工事	1/4	1/6	田中	○
内装工事	1/7	未定	佐藤	ー

このように、リフォーム工程表は、作業者だけでなく、依頼主であるお客様にもスケジュールを理解してもらう大切なツールです。

7.まとめ：リフォーム工程表の重要性と活用方法

以上の内容を整理すると、リフォーム工程表は、各工事の進行状況を明確にするための重要なツールであることが理解できます。施工手順から範囲、施工期間の設定、そして具体的な工事配分まで、一つ一つのステップが慎重に計画されています。

また、工程表を見れば、工事の全体像が一目でわかり、問題が発生した際には即座に対応することが可能となります。そのため、リフォーム工事をスムーズに進行させるためには、工程表の作成と活用が必須です。

ただし、工程表作成時は編集・共有の迅速性や工事場所ごとの進捗明確化、工事の担当者の明確化などに注意が必要です。誰が見ても理解できる工程表を作成することで、リフォーム工事の効率化と共に、クオリティの向上も期待できます。