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「建築工事請負契約書」の基本と常識、これさえ読めば安心!

目次

1.序章:「建築工事請負契約書」の重要性

建築業界での契約書の役割

建築業界において、契約書は非常に重要な役割を持っています。なぜなら、建築工事は大規模で高額な事業であり、事前に詳細な契約内容を明記することで、後のトラブルを防ぎ、安心してプロジェクトを進めることができます。

具体的な役割としては、以下の3点が挙げられます。

  1. 権利義務の明示:工事の内容、請負代金、工期、保証期間など、双方の権利義務を明確にします。
  2. 予防策:契約書は建設業界におけるリスク管理の一環とも言えます。契約書に具体的な約束事を記載することで、事故やトラブル発生時の対応策を事前に準備することができます。
  3. 証拠提供:何か問題が生じた場合、契約書は証拠として役立ちます。これにより、紛争解決に大きな力を発揮します。

以上のように、建築業界における契約書の役割は極めて大きいと言えます。

工事請負契約書を設ける理由

建築工事請負契約書は、建築工事の発注者と請負者が、互いの権利義務を明確にするための文書です。この契約書には、工事の内容、工期、請負代金など、双方が合意した事項が詳細に記載されます。

表1:建築工事請負契約書の主な記載事項

項目名説明
工事の内容請け負う工事の詳細内容
請負代金工事を行う対価
工期工事開始日と完成予定日
検査・引き渡し工事終了後の検査期間と引き渡し条件

契約書を作成することで、万が一のトラブル時にも予め決められた条件に基づき解決を図ることが可能となります。また、契約書は法的な効力を持つため、権利を保護する上でも重要な存在となります。このような理由から、建築工事を行う際には必ず工事請負契約書を設けるべきです。

2.工事請負契約書とは?

工事請負契約書の定義

工事請負契約書とは、建設業者(請負人)と発注者(発注人)が、建築工事の依頼・請け負いに関して結ぶ文書契約のことです。具体的には、工事の内容、工期、請負代金、支払い方法などを明文化したものであり、双方の権利・義務を明確にし、トラブルを防ぐための重要な手段です。

例えば、以下のような項目が含まれます。

【1:工事請負契約書の基本項目】

  1. 工事の内容
  2. 工事場所
  3. 工事期間
  4. 請負代金と支払い方法
  5. 工事完了後の保証期間
  6. 解約条件

このように、工事請負契約書は建築工事の全過程を規定した法的な文書であり、双方の理解と合意を基に作成されます。専門的な知識が必要な項目も多いため、不明点や疑問点がある場合は専門家に相談することをお勧めします。

工事請負契約書締結の主な目的

工事請負契約書締結の主な目的は、建築工事を行う際の両者間の約束事を明確にし、トラブルを未然に防ぐことです。具体的には以下のような点が挙げられます。

  1. 工事内容の明示: 契約書には、何をどのような基準で建築するのか、具体的な工事内容を記述します。これは、後で「こんなはずではなかった」というトラブルを避けるためにも重要な項目となります。
  2. 費用や支払い条件の確認: 工事にかかる費用や、その支払いのタイミング、方法などを明記します。これにより、お金に関する誤解やトラブルを防げます。
  3. 工期の設定: 工事がいつから始まり、いつに終わるのかという工期を定めます。これは工事の進行管理やスケジュール調整に必要です。

これらの目的を達成するために、契約書は詳細であるべきです。そしてその作成には専門知識が必要となります。

3.工事請負契約書の基本的な内容

法定記載事項について

工事請負契約書には、契約の履行に必要な項目が法律で定められています。以下に主な法定記載事項を挙げます。

  1. 請負人と発注者の氏名または名称と住所
  2. 業務の内容(工事の種類と規模)
  3. 工事場所
  4. 工期の開始日及び完了日
  5. 請負代金の額及び支払方法・時期
  6. 納品時期と方法
  7. 契約金額に関わる重要事項(追加・変更工事、質量欠陥等)

これらは契約書に欠かすことのできない項目であり、明確に記載することで後に生じるトラブルを防ぎます。業者との信頼関係を築くためにも、法定記載事項の把握は必須と言えるでしょう。

その他の記載例とその重要性

工事請負契約書には、法定記載事項以外にも重要な項目が存在します。これらを適切に記載することで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。

  1. 保証期間:工事完了後に発生する欠陥に対する責任期間を定めます。通常は1年程度とされます。
  2. 変更・中止条件:建築計画の変更や工事中止が必要となった場合の手続きと費用負担者を明記します。
  3. 損害賠償:工事による近隣への損害発生時の賠償責任を規定します。
  4. 納期遅延に対する遅延損害金:納期遅延が発生した場合の遅延損害金の支払い条件を定めます。

以下の表は、その他の重要な項目とその内容の例です。

項目内容
保証期間工事完了後の欠陥に対する責任期間
変更・中止条件建築計画の変更や工事中止が必要となった時の手続きと費用負担
損害賠償工事による近隣への損害発生時の賠償責任
納期遅延に対する遅延損害金納期遅延が発生した場合の遅延損害金の支払い条件

これらの項目を適切に記載することで、契約の明確化とトラブル防止に繋がります。

4.工事請負契約書作成時の注意点

適切な現場代理人の選任方法と通知

工事請負契約書作成時には、現場代理人の選任が重要なポイントです。現場代理人は工事を監督し、工事の進捗や品質管理を行う役割を担います。適任者は、建築工事の専門知識を持ち、責任感があり、コミュニケーション能力が高い人物を選ぶことが求められます。

具体的な選任方法としては、以下の手順が考えられます。

【選任手順】

  1. 候補者リスト作成:必要なスキルや経験を持つ人物をリストアップします。
  2. 面接・評価:候補者の専門知識や経験、コミュニケーション能力を評価します。
  3. 最終選定:評価結果を基に最適な人物を選出します。

選任が決まったら、すぐに契約相手方に通知を行うことが重要です。通知は書面にて行い、その内容は契約書に明記することが求められます。これにより、現場代理人の権限範囲や責任を明確にすることが可能となります。

請負代金の定め方と見積り

建築工事請負契約書における「請負代金の定め方と見積り」は、契約の核心となる部分です。この部分が曖昧だと後々トラブルの元となります。

まず、請負代金は工事の全体的な内容、工程、使用する材料の種類と量、必要な人件費等を考慮して決定されます。その詳細は以下の表の通りです。

項目内容
工事内容施工する建物の構造、規模、設計
工程工事の進行スケジュール
材料使用する材料の種類、量
人件費必要な労働力とその費用

これらの要素を総合的に見積もり、請負代金とします。この見積りは契約締結前に行われ、発注者と施工者が納得の上で決定されます。

また、請負代金の見積りの際には、将来発生する可能性のある追加工事や不測の事態を考慮に入れることも重要です。透明性を保つため、その内容と見積り方法も契約書に明記することを推奨します。

工期の定め方

工事請負契約書には、工事の開始日と完了日(予定)を明記することが重要です。これにより、双方が期待通りのスケジュールを守ることが確約されます。

  1. 開始日:実際の工事開始日を指定します。ただし、予見困難な遅延(天候不順等)に備えて、予備日を設けることもあります。
  2. 終了日:完了予定日を指定します。遅延ペナルティの設定や工事の進行状況に応じた変更の可能性も明記しておくとよいでしょう。

また、工事全体のスケジュールを「工程表」にまとめ、契約書と一緒に交付することも一般的です。これにより、工事の進行具体的なイメージを持つことができます。

具体的な工程は以下のようになります。

工程名開始日終了日
基礎工事2022年4月1日2022年4月15日
上棟工事2022年4月16日2022年4月30日
内装工事2022年5月1日2022年5月31日
仕上げ工事2022年6月1日2022年6月15日

契約書作成時には、これらを具体的に確認し、合意した上で記載することが求められます。

下請業者使用時の注意点

建築工事請負契約書において、下請業者の使用が予定される場合、それに関わる記載は必須です。具体的な内容としては、下請業者の名前、その業務内容、請負代金などが明記されるべきです。

また、一般的には、請負業者自身が工事を行うことが基本ですが、それが難しい場合に限り下請業者を使用します。その際の基準や理由、および下請業者選定の方法等も明確にすることが求められます。

さらに、下請業者が工事を行う場合でも、最終的な責任は請負業者が負う点を理解し、その旨を契約書に明記しておくことが重要です。

以上の点を踏まえたうえで、工事請負契約書の作成は、専門家と協力して行うことをお勧めします。これにより、法的トラブルを未然に防ぐことが可能になります。

追加工事代金について

建築工事が進行する中で、予測できなかった問題や要望の変更により、追加の工事が発生することは少なくありません。この場合、「追加工事代金」が発生します。その際、工事請負契約書には、

  1. 追加工事の定義
  2. 追加工事の発生時の手続き
  3. 追加工事代金の算定方法

を明記することが重要です。

特に、追加工事が発生した際の報告・承認の流れや追加費用の計算基準は細かく規定しておくべき点です。これは、後々のトラブルを防ぐため、また工事の進行と共に発生する変動費を明確にするためです。

例えば、以下のような記載法が考えられます。

【表1】追加工事代金についての記載例

項目内容
追加工事の定義契約後に発生した工程外の工事
追加工事の手続き業者から発生理由・内容・費用を明記した書面で報告、発注者からの承認を得る
追加工事代金の算定明示した価格体系に基づく

追加工事に関するルールを明確にすることで、双方の理解を深め、円滑な工事進行を実現します。

騒音クレーム対応について

建築工事は、どうしても騒音が発生します。この騒音が近隣住民からのクレームにつながることもあります。

まず、工事請負契約書には、騒音クレーム対応についての詳細な記述が必要です。具体的には、

  1. 騒音を最小限に抑える努力義務
  2. 騒音対策の具体的な取り組み
  3. クレーム発生時の対応策

これらを明確に記載することが求められます。

また、工事開始前には、近隣住民への挨拶とともに工事に伴う騒音についての情報提供も必要です。これにより、事前に理解を得ておくことで、クレームを未然に防ぐ効果も期待できます。

さらに、万が一騒音クレームが発生した場合は、迅速且つ適切な対応が重要です。具体的な対応策や連絡体制など、詳細な対応計画を工事請負契約書に記載しておくことが望ましいです。このように、騒音クレーム対応は、建築工事請負契約書における重要なポイントとなります。

5.工事請負契約書に関する税務課題:印紙税

印紙税とは?

印紙税とは、契約書や証書など、特定の文書を作成した際に納める税金の一種です。その名の通り、納税証明として文書に貼る「印紙」を購入する形で納税します。

建築工事請負契約書もその対象となり、契約が成立した際には印紙税を納める義務があります。税額は契約金額によって変動し、以下の表のようになっています。

契約金額 (万円)印紙税額 (円)
100未満200
100以上1,000未満1,000
1,000以上10,000

例えば、契約金額が500万円の場合、印紙税額は1,000円となります。必ず適切な金額の印紙を用意し、契約書に貼り付けて納税しましょう。

工事請負契約書にかかる印紙税の金額の算出方法

工事請負契約書は、税法上「契約証書」にあたるため、印紙税が発生します。具体的な金額は契約金額により段階的に設定されています。

例えば、請負代金が1千万円以下の場合、印紙税として3千円が必要となります。10万円を超え、1千万円以下の場合には、印紙税は10千円となります。さらに1千万円を超え、1億円以下の場合には、印紙税は10万円と設定されています。

以下に一覧表を示します。

請負代金印紙税
10万円以下無し
10万~1000万円3千円
1000万~1億円10万円

このように、請負代金の金額に応じて印紙税が設定されています。契約書を作成する際は、適切な金額の印紙を貼付することが必要です。

6.専門家による助言の重要性

工事請負契約書の作成とはどのようなものか?

工事請負契約書の作成は、建設業界での重要なプロセスであり、詳細な内容を正確に記載する必要があります。初めに、契約の当事者である請負人(業者)と発注者を明確に定義します。次に、工事内容、工期、請負代金等の主要事項を緻密に記載します。

また、工事の進行に伴う可能性のある追加工事や延長工期についての対応策や、発生したトラブルへの対応方法も盛り込まれます。さらに、発注者からの要望や特別な条件を詳細に書き加えることもあります。

このように、契約書は建築工事の全てを網羅した法的文書となるため、専門家の手によって作成されることが一般的です。具体的な契約内容については、相談者の情況や要望に応じて変わるため、具体的なアドバイスを求める際には専門家への相談が必要です。

専門家への相談の必要性とその理由

建築工事請負契約書の作成は、専門的な知識を必要とします。これは法律的な文言や業界特有の用語が含まれるためで、適切に理解し記載しなければ後々問題に発展する可能性があるからです。

また、契約書は法的な効力を持ちます。そのため、契約に関するトラブルが発生した際、契約書の内容が証拠となります。専門家に校正やアドバイスを求めることで、予期せぬトラブルを未然に防ぐことが可能となります。だからこそ、建築工事請負契約書の作成に際しては、法律家や経験豊富な建設業界人に相談することが重要となるのです。

以下に専門家へ相談することで得られるメリットをいくつか示します。

■法的トラブルの回避 ■契約内容の明確化 ■納得のいく契約の締結 ■工事の進行中に生じる問題の解決

これらを考慮すれば、専門家への相談は必要不可欠であると言えます。

7.まとめ:「建築工事請負契約書」の基本と常識を理解し、安心して契約に臨む

工事請負契約書の理解によるトラブル回避

工事請負契約書を理解することは、建築工事過程でのトラブルを未然に防ぐ重要な手段です。契約書の内容について十分な知識があることで、予期せぬ問題が発生した場合でも迅速に対応できます。

具体的には、以下のような点があります。

  1. 工事の完了期限:契約書には、工事の完了期限が明記されています。これにより、工事が予定通り進行しているか、遅延が発生していないかをチェックできます。
  2. 支払い条件:請負代金の支払い条件も契約書に書かれています。これにより、金銭的なトラブルを避けることができます。
  3. 追加・変更工事:追加や変更が必要な場合の手続きや費用についても契約書で定められています。これにより、後から費用が発生するなどのトラブルを防げます。

以上のように、工事請負契約書を理解することは、建築工事過程でのトラブル回避に直結します。

建設業界での専門家の重要性

建設業界において、専門家の存在は非常に重要です。特に、「建築工事請負契約書」の作成にあたっては、建築や法律に精通したプロフェッショナルの意見や指導が必要不可欠となります。

契約書の作成は、緻密な知識と経験が求められ、ミスは許されません。専門家の助けを借りることで、法的な問題を未然に防ぐことが可能となります。

また、専門家は契約書だけでなく、その他の建設業界特有の問題に対しても的確なアドバイスを提供できます。これらのアドバイスは、建設業界で事業を成功させるための重要な要素となります。

したがって、「建築工事請負契約書」の作成にあたっては、必ず専門家の意見を取り入れるようにしましょう。その一環として、契約書作成の際には法律専門家に相談することをお勧めします。

この記事を書いた人

沢田 亜嵐のアバター 沢田 亜嵐 住宅DXラボ運営

住宅DXラボは住宅業界に特化したYoutubeなどのITマーケティング支援するサービスです!相羽建設、株式会社オガワ、株式会社マーサリーなど100社以上の住宅会社様を支援しており、動画の制作から運用、WEBマーケティング全般まで柔軟にサポートしています。

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